こんにちは。
わくわくキッズのあべまりです
さまざまな分野の方の「子ども時代」を聞いちゃおう!という企画「こどもあつめ」
第3回目のゲストは、放課後NPOアフタースクールの代表理事を務め、2019年より新渡戸文化学園の理事長に就任された 平岩国泰(ひらいわ くにやす)さんです!
今回は新型コロナウイルスの感染予防のため、zoomでオンラインインタビューとなりました。
ご自身の画面背景をわくわくキッズのロゴにしてくださるなど、嬉しいサプライズ満載のインタビューとなりました。
「自分と会ったことで、相手の方に良いことがあったり、喜んでくれたら…」というお言葉通り、温かなお人柄の平岩さん。
それでは、平岩さんの【こども時代】をのぞいてみましょう!
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平岩 国泰(ひらいわ くにやす)さん
放課後NPOアフタースクール代表理事/新渡戸文化学園理事長
《プロフィール》
1974年東京都生まれ。1996年慶應義塾大学経済学部卒業。
長女の誕生をきっかけに、放課後NPOアフタースクールを起業し、21校のアフタースクールを開校。2019年新渡戸文化学園理事長就任。日本のモデルとなる未来の学校づくりに挑む。
Q.小学生のときはどんなお子さんでしたか?
野球が好きで、公園で毎日のようにやっていました。僕は兄がいるんですけれど、(その影響か)高学年になってきたら周りの友達が子どもに見えてきましたね。いわゆる‘小学生男子が汚いこと言って笑う’みたいなのが、あんまり面白くなくなってきたことが早かったことを覚えています。
Q.今でも忘れられないエピソードを教えてください。
小学校が火事になったことがあるんです。嘘みたいな話なんですけれど、それがちょうど火災の避難訓練の日でした。僕は図工室にいて、(外を見ると)煙がモクモク出てきて、僕らは当然訓練だと思いました。でも、先生が真顔になって「君たち、避難だ!」って言うわけですよ。「いやいや先生、訓練なんだから…」と思いましたが、先生のテンションがちょっと(いつもと)違っていたんです。それで「あれ?」って。(笑)
給食室からのボヤで、もちろん大火事にはならずに済みましたが、本気で体育館に避難しました。
後から新聞の取材がきて、6年生の代表として、なぜか僕が(インタビューに)選ばれたんです。それで、新聞記者の人に「煙がでた時、どう思いましたか?」と聞かれたんです。なんて答えたらいいいかなって考えて、
「煙を見て、あれは本物(の煙)だと思いました」と、実際に思っていた事と逆のことを言っちゃったんです(笑)
その記事は夕刊に載りました。「6年生の平岩君は冷静に答えていた」なんて、記事に書いてありました(笑)。
Q.給食についての思いではありますか?
作ってくださった方にはとても失礼なんですが…、あんまりいい思い出がなくて。
6年間、1度も「ごはん」が出なかったんですよ。1年中毎日パンでした。時代だと思うんですが…。
聞くと、同じ区内にはごはんが出てる学校もあったみたいです。給食で、苦手になったものが少しあって…。
それは、タケノコとマーガリン。タケノコは、夏の暑い時にどろどろの五目炒めに入っていて、えぐみもありました。それでタケノコ全般が苦手になり、今でも春先になるとおびえて…逃げ回っています(笑)
それから、毎日パンばかりなのでマーガリンが必ずついてきました。それが嫌で、道具箱に隠すんです。だんだん溜まってきて、(道具箱に)入らなくなってきたところで、仕方ないから持ち帰ります。きつかったですね(笑)
好きな給食は、しいていうならカレーシチューでした。ライスは出ないのでカレーもシチューで…。
↑オンラインでインタビュー中の平岩さん。なんと背景がわくわくキッズのロゴに!
Q.好きだった教科・苦手だった教科を教えてください。
図工と体育は好きでした。図工は、消防車の写生の絵が6年連続で代表に選ばれました。5年生の時が一番よくて、東京都で特選をもらいました。身体を動かすことが好きだったので、リレーの選手にもなりました。6年生の時にはアンカーで1位でテープを切りました。思えばその時以来運動も勉強もトップになったことはなかったかな。人生のピークですね(笑)。
苦手はあまりなかったのですが…音楽でしょうか。人前で歌うのが恥ずかしかったし、才能もなかったので隅っこの方でジッと静かにしてました。怒られた記憶はないので、最低限やってたのかもしれません。
Q.印象に残ってる先生はいますか?
図工の先生です。2年生のとき、その先生に褒めてもらった言葉を、いまだに忘れていないんです。
粘土をやった後の片付けで、僕はお皿を水道で洗いました。棚に戻した時に、先生が「みんな、平岩君のお皿を見なさい。使う前よりきれいにして、戻しています。」って言ってくれたんです。ぼくはその時とても嬉しかったのと、すごく心にストンと落ちる感覚がありました。なんでかな、と思うと、自分がそのお皿に関わったことで、そのお皿が綺麗になった。これが、今でも自分の人生観になってるんです。
…ちょっとすみません、なんか良い話してる感じになっちゃってますけど(笑)
要は、自分が生きたことで世の中が良くなる、自分と会ったことで相手の方に少しでも良いことがあった・喜んでくれた、そういう感覚です。図工の先生がそうやって言葉で表現してくれたのは、大きかったです。アフタースクールでも、子ども達の良いところを一緒に見つけて、言葉で表現して伝えてあげるということが、大切だと思っています。
Q.おうちの方から、子どもの時に受けた影響はありますか?
年取って父に似てきているなぁと感じます。父は、人が喜ぶことが好きなんです。昔は「買い物おじさん」と呼ばれていて、親戚とどこか行くと、かならず何か買ってあげるような人でした。私がほしいものをコッソリ調べて、サプライズで買ってきてくれた日もありました。母は「男らしさ」を重視する人でした。両親ともに小さな会社を経営する一族で、男性が多い家系で育ったので「男は仕事で戦うものだ」という考えがありました。「男らしく」というのは、母からよく言われたように思います。ボランティアマインドが強いのも母の特徴でした。
Q.失敗したとき、壁にぶつかったときはどのように解決していきましたか。
とにかく「次の手を探す」ことだと思います。起きたことはもう変わらないので、反射的に「で、どうする?」と考えるようにしています。それで、次のアイディアを考え出すと、もう気持ちが次にいきます。
そうはいっても、すぐに切り替えられない時は、「長い目で見た時にどうかな」ということも、考えます。これはうちの親がよく言っていたことです。「今日一日は大変だったかもしれないけれど、長い目で見てみたら、今日の嫌なことなんて絶対忘れるんだろうな」って。10年たっても覚えているほどの嫌なことや失敗って、ほとんどないんですよね。その日、そのタイミングは最悪なんだけど、10年もすればほぼ忘れます。嫌な気持ちを置いてきぼりにして、自分は次に行く。「長い目で見た時に、たいしたことないじゃん。で、どうする?」って考えるのが、いつもの僕の思考パターンです。やっているうちに習慣になるので、鍛えられる思考法だと思います。
Q.今の子ども達にメッセージをお願いします。
【自分の「良いところ」の面積をひろげよう】
短所を裏返せば、必ず長所であると思うんです。苦手なところは、良いところと常に共生しています。苦手なことを無理に直そうとせずに良いところを広げていけば、苦手なところや弱いところはなくならないけどかなり目立たなくなってきます。「自分の良いところってなんだろう?」って、そこを考えて、思いきり(外に)だしていく。自分の良いところの面積を広げていって、誰かを喜ばせてあげてほしいです。
【大人って楽しい!】
大人って楽しいんだなって思うんです。僕は、今子どもに戻りたいかって聞かれたら、そうでもないです。
やり直したいことはいくつかありますけどね(笑)。大人って、野球でいうとグラウンドに出て選手になれていることだと思います。子どもの時は観客席で見ていたけど、大人になると社会の中でプレーヤーになれるイメージです。実際に自分たちが動くことで喜んでくれる人がいたり、これは「上手くいくかも?」と思って(やってみて)成功したり失敗したり。レポート用紙の上ではなくて、それが実際に目の前で起きているので、それが一番おもしろいと思います。
【好きなフィールドで、毎日フルスイングする】
社会に出て、自分の好きなフィールドを見つけて、プレーヤーとして毎日フルスイングする。そんな人生を描いてもらいたいです。苦手なコースを(狙って)打ちにいってもあまり良い結果は出ないので、自分の得意なコースを見つけて、そこを狙ってフルスイングする。20代のときは、自分を前後左右に思いきり振ってみるのがいいと思います。つまり、色んなフィールドに行ってみたり、頼まれた仕事を全部やってみたり、すごい上・下の世代と付き合ってみたりすると、自分の得意なゾーンが見えてくるんですよね。それを見極めて、30、40代を過ごしてほしいと思います。
自分のやりたいなと思うフィールドは子どもたちのこと、得意なコースは僕にとっては新しいものをつくることです。「教育」×「新しいこと」で今の自分の仕事になりました。
※フルスイング…野球のバットを力いっぱい振ること
【最後に…】
夢とか自分のやりたいことって、どんどん変わっていくと思うんです。探して見つかっても、また変わるかもしれない。小学生の時に見つかる子もいるかもしれないけれど、多くは中学・高校・大学…と大人になっても探していきます。
だから、あまり小学生に夢を聞きまわっても、それはその時の夢でしかないし、その時点で見えてなくても全然良いと思います。
好奇心や経験の幅が多い方が、(好きなことが)見つかったり出会えたりするチャンスは多いと思います。迷ったらやってみる、行ってみる、というのはおすすめします。今は自信がなくても、長い時間をかけて(自信を)つけていくこともできる。好きなものを見つけ、楽しい仲間がいることが一番いいと思います、人生は。
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平岩さん、ありがとうございました。
インタビュー中も、話の節々にアフタースクールの子ども達やスタッフの方々、学校の先生方への思いやりや、仕事に対する熱い思いをお聞きすることができました。
このような教育・思いが、まさに「これからの日本のモデル」となっていくのだと感じます。
あらためて、ありがとうございました。
文:あべまり